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苦手をどうする? -3つの手立てで意欲を育む-

  • 1 日前
  • 読了時間: 4分

「後輩たちに伝えてください。大人の方が楽だからって……」

何人もの卒園生からの言葉です。

「誰にだって苦手はある。大人だって、職場では強みを生かせるように役割を分担しているのに、なぜ学校では子どもに『完璧』を求めるの?」

「これができなきゃ先には進めないといって、苦手なことばかりさせるのはどうして?」


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 新学期が始まって、今、少しずつ「授業について行けない」と感じ始めている子はいませんか? 「苦手なら、なおのこと必死で頑張れ!」というのはひとつの正論かもしれません。頑張ることの大切さを否定するつもりもありません。けれど目の前に現れた壁は、すべて乗り越えなければいけないものでしょうか?


 子どもたちの「苦手」に直面したときは、次の「3つの手立て」をバランスよく行ってみてください。


① 苦手を克服する

② 得意を生かす

③ 別の方法をつかう


 例えば、ひらがなやアルファベットの読み書きが難しい場合を考えてみましょう。①の「克服」は、繰り返し練習をするなどよく行われている方法です。②の「得意を生かす」なら、文字を文字としてとらえることが苦手な子には、「し」は「しっぽの“し”」として教えます。


イラスト化することで、文字の形のちがいにも気がつきやすくなることがあります
イラスト化することで、文字の形のちがいにも気がつきやすくなることがあります

 目からの情報に弱い子には、「よ」を「短く横線、足くる」というように、耳からの情報を添えることで文字を思い出せるようにします。


「短く横線、足くる」と言いながら背中に書いた文字を「あてっこ」するのもおススメ!
「短く横線、足くる」と言いながら背中に書いた文字を「あてっこ」するのもおススメ!

 ③の「別の方法」としては、書くことを苦手とする子に、鉛筆の代わりに指で机の上などに大きく書かせる、あるいはデジタルツールを使うなどします。私自身は英語教師としてLD(学習障害)などとされる子どもたちを多く見てきましたが、アルファベットはシンプルだからこそ「むずかしい!」という子もいます。そんなときは、

「まずは読めるようにすることから始めない? 読んでいれば、その内に文字も覚えられるさ」ということもあります。どうしても書くことが難しく、おもにタイピングで練習して、大学や大学院に進んだ生徒が何人もいます。

 繰り返しますが、苦手を克服するための努力を否定するつもりもありません。私たちから②や③の手立てを提案しても、子ども自身が「それでも、書けるようになりたい」と強く希望することもあります。

 大切なのは、3つの手立てをバランスよく行うことです。意欲にあふれている子だったら、①の克服に力を注ぐのもいいでしょう。けれど得意でないことは楽しくないものです。楽しくないことは、身につきにくいことは誰もが経験していることではないでしょうか。

 そして、3つの手立てをバランスよく行うために重要なのは、その子自身と相談することです。「この方法とあの方法では、どちらが合っているかな?」「苦手を克服するのと得意を伸ばすのと、どのくらいの割合でやっていこうか?」などといった相談を重ねることは、その子自身が自分の学びをより深く考えるきっかけとなり、主体的に学ぶ姿勢を養います。



¥628 (税込)

NHKや全国各地、専門誌でも繰り返し取り上げられる等、 販売開始以来 高い評価をいただいています。


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 大人になっても、右と左を間違える人がいるように、「し」をアルファベットの “J” のように書いたり、b と d を混同したりする子もいます。漢字が苦手で「国語は大の苦手!」だと言っていた少年は、その後、最難関と言われる大学に進み著述業を生業としています。「できない」「うまくいかない」という経験を繰り返させることで、意欲を損なうことだけは避けたいものです。(つづく)


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小野村 哲 (おのむら さとし)  1960年5月9日生まれ

NPO法人リヴォルヴ学校教育研究所 理事長 ライズぷらす教材開発責任者

認定NPO法人エッジ読み書き困難指導・支援講座講師 元つくば市教育委員

公立中学校に英語教諭として勤務

文部省全国研究指定校中間報告会にて、全国の研究指定校を代表して発表(1991)

茨城県教育研修センターで講師(1993~1995)を務めるなどしたのち39歳で退職

(むすびつくば)ライズ学園を立ち上げ、不登校や学習につまずきがちな子どもたちの支援にあたる他、

幼・小・中学校や大学、教育委員会等に招かれ、子育てやLD(学習障害、学びの多様性)などに関する講演活動を行っている。

主著に『イラストと音で覚える 読み書きが苦手な子のためのアルファベットワーク』(明治図書)2020他。長年の実践と研究の成果を生かしたオリジナル教材は、NHKなどでも繰り返し取り上げられている。

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